石原説について
日付:2008-09-07 09:07:33 / リモートIP:219.58.202.26 / #8285
作者:色弱49号
初めての書き込みです。
学校用色覚異常検査表 著者 石原忍 1968 (財)一新会 (株)半田屋商店(一般的に使われている色覚検査表と思います)に次のような記述がある。
色覚異常の発生並びに遺伝
先天色覚異常は眼の発育不全である。・・・フランクリン、シエンク等の仮定説によると、人の眼は胎生期に最初全色盲であった。即ち明暗だけが見えて、色は見えなかったものである。それが発育の第二期にはまず青と黄とが見えるようになる。この青と黄とは互に余色であって、これを合せると無色になる。次に発育の第三期にはその黄を感ずる機能が、さらに分化して、赤と緑とを感ずるようになる。実際、赤と緑とを合せると黄になる。即ち発育の終りには、青と赤と緑との三原色を感ずるようになり、この三原色の種々な配合によって、宇宙間の総ての色を感ずるのである。・・・
以上は一の仮定説に過ぎないのであるが、今日これ以上確かなことはわかっていない。故に今かりにこの説を正しいものとすれば、色盲の発生は次のように説明することができる。
即ち色覚の発育がその第一期で止まったものとすれば、全色盲となり、また第二期で止まったとすれば、赤緑色盲ができる。もしまた発育の第二期が不完全に行われたとすれば全色弱、発育の第三期が不完全に行われたとすれば赤緑色弱となる理である。
このように色盲は眼の発育不全であるから、従ってその原因としては、先ず第一に遺伝関係を考えなければならない。・・・赤緑色盲にもまた遺伝関係は確かに認められる。兄弟が共に色盲であるという例は少くない。殊に面白いことは、色盲が健常な女子によって男系に遺伝することである。即ち色盲の素因を持っている女子は、たとえ自分が色盲でなくても、色盲をその子に伝える性質を持っているのである。・・・
色覚異常発症のメカニズムを考えると、なぜ赤緑異常が多くて、青黄異常が希にしかないのか、理にかなっていて、妙に納得してしまいます。
石原氏は、遺伝によって色覚異常が発症することは承知の上で、この説を眼科の教科書に書き、弟子たちに教え続けていたようです。このことを、石原氏の実の弟が、色覚異常であったので、弟のことや自分の家系のことを隠し続けたことと関係があるのではないかと、指摘する人もいますが、もし、そうであったとしても、私には、それが一番の原因であるとは思えません。(医師であり、医療に対して公の責任ある立場であるのだから)
また、色覚異常がたとえ遺伝によって、発症するとしても、個々の症状には、かなり、ばらつきがあること(兄弟共、色覚異常であってもその程度は、まちまちであることが多い)や、遺伝によって生まれつき眼の網膜にある視細胞の一種が奇形あるいは欠如している状態であると言う事例は、かなり希にしかないことなどを考えても(血族結婚による全色盲など)、発育不全ととらえた石原氏の仮説は、合理的に説明がつくように思える。(専門家によって意見の分かれるところではあるが)
石原説(色覚異常の発育不全説と言うらしい)が、今まで、眼科の専門家の間であまり指示されてきてないような印象があるのは、なぜなのか疑問だ。もしかしたらそこに色覚問題の複雑さがあると考えるのは私だけだろうか。・・・
皆様のご意見は、いかがでしょうか。