Wikipedia:フリーでないコンテントの使用基準

[訳注:この文章は英語版ウィキペディアでは正式な方針となっていますが、日本語版では準拠法などの問題から採用されていません。WP:EDPを参照。ご注意ください。また、文章中に[]を用いて訳注を記載しています。]

この文章も含む、英語版ウィキペディアにおけるフリーでないコンテントの使用のガイドラインに関してはWikipedia:英語版におけるフリーでないコンテントを参照してください。

2007年3月23日のウィキメディア財団のライセンス使用方針の決定に基づいて、この文書は、ウィキペディア日本語版における例外事項の方針として使用されます。

この方針は、ウィキメディア財団の決議に対応するウィキペディア日本語版の権利制限法理の適用方針 (EDP: Exemption Doctrine Policy) として規定される。

概要 編集

ウィキメディア財団の使命は、「『フリー・コンテント・ライセンス』の下にライセンスされた教育的なコンテンツを収集・発展していくために、世界中のひとびとを力づけ、参加を促す」ことであり、「フリー・コンテント・ライセンス」の下にライセンスされているか、上記の「フリー・カルチャー的作品の定義」によって自由であると認められたコンテンツのみを含むことが期待される。

しかし、近現代の報道写真や美術作品など、完全に「フリー」なライセンスで得ることのできないけれど、百科事典の質を向上させるため、重要なコンテンツも存在します。このため、適法にウィキペディアで使用が可能であり、かつ、より厳しい条件を満たす場合に限り、コンテンツを使用可能とすることが認められます。

論理的な根拠 編集

この方針には3つの基本的論理的な根拠が存在します。

  • あらゆるメディア、全てのユーザーによる、無制限の配布と変更と利用に対して、永久に無料なものを提供すると言うウィキペディアの目的の護持
  • 日本の著作権法を遵守し、米国著作権法については一般的なフェアユースの運用と比較して、意図的により厳しい制限をかけた状況の元で、フリーでないコンテントの量を制限し、法的な危険性を最小限度にする必要性
  • 可能な限りメディアを使用するよう努めることで、質の高い百科事典を作ること

目的と背景 編集

この方針は、ウィキメディア財団の決議 (日本語訳) によって定められる「権利制限法理」の適用方針となります。

権利制限法理の適用方針 (EDP: Exemption Doctrine Policy) とは、アメリカ合衆国法、およびコンテンツへのアクセス元の多数を占める国の法律に従って定められる、各プロジェクト特有の方針であって、著作権法(判例法を含む)の権利制限規定をプロジェクトに適用し、著作権の対象でありながら、プロジェクトにおける利用態様によっては適法に利用可能な素材のアップロードを、それらのライセンス状態を考慮することなく認めるものをいいます。

ウィキペディア日本語版の場合、アクセス元の多数を占める国は日本であると考えられることから、日本とアメリカ合衆国の法律に基づくEDPが必要となります。われわれがウィキペディアで使用できる素材は、これらの法律に違反するものであってはなりません。

ウィキペディアを運営するウィキメディア財団運営目的は、「フリーなライセンスもしくはパブリックドメインの下にある知的資源を収集し、作成し、広く効果的にそれを広めるため、世界中の人々に提供、従事させること」です。フリーでない素材は、法的に問題がなくとも、用いるべきではないと、2005年5月に明確に宣言されました[1]。「フリー」であるとは、誰もが自由に再配布を行ったり、改変したりすることができるという意味です。GNU Free Documentation License (GFDL) やクリエイティブ・コモンズ-表示 (CC-BY) などは、代表的なフリーなライセンスですが、たとえば、クリエイティブ・コモンズ-改変禁止 (CC-ND) は完全にフリーなライセンスではありません。

ところが、百科事典の質を向上させるために必要な素材のなかには、ウィキペディアンの努力によってフリーなライセンスで素材を得ることができないけれど、法律的にはウィキペディアの使用が可能な素材が存在することもあります。

日本の著作権法ではごく限られますが権利制限規定の対象となり、著作権者の許諾なく利用できる場合もあります(屋外の美術品)。ロゴを含む画像は、改変と二次使用の様態によっては、商標法上問題となりえますが、百科事典であるウィキペディア上で用いる上では問題とならないことも多いでしょう。

このような場合、法律を守り、しかも、より厳しい制限の下で、フリーではない素材を使用することを認めることで、百科事典としての質の向上とのバランスをとるのが、この方針の目的です。この方針に合致しない素材は、法律上許容されるものであっても、ウィキペディア日本語版では受け入れられません。

日本語版での適用方針 編集

日本の著作権法における権利制限規定は、アメリカ合衆国法と比べ、インターネット上で百科事典を作るプロジェクトでの著作物の使用に対してあまり寛容ではありません。このため、日本の著作権法下で使用可能であり、かつ、合衆国法を基礎としたウィキペディア英語版における適用方針にある以下の条件を満たす素材について使用可能であると定めます。これらの条件は日本の著作権法下で使用可能であるための条件ではないことに注意してください。日本の著作権法下で使用可能であるかどうかは別途検討する必要があります。

  1. 他のフリーな素材がない (No free equivalent) 百科辞典作成の同じ目的のために、他のフリーな同等の素材が利用可能でないもしくは、作成可能でない場合にのみ、フリーでないコンテントを利用可能です。もし、フリーなコンテントの利用が可能であれば、フリーではないコンテントは、フェアユースと言う手段を使用する代わりに、フリーな素材や許容可能な品質の代替物が利用可能ならそれに置き換えます。ここで、「許容可能な品質」とは百科辞典の目的を果たすのに十分な質を示します(簡単に確認する手段として、次の様に自問する方法があります。「この画像を別の画像に置き換えて同じ効果となるだろうか?」もし、答えがYesであれば、画像はこの1つ目の条件に適合しないことになります)。
  2. 商業的な用途に配慮する (Respect for commercial opportunities) フリーでないコンテントは、本来の著作権を使用しているメディアにおける本来の市場での役割を置き換えようとする方法であってはいけません。
  3. (a) 最小限度の利用 (Minimal usage) 各記事及びウィキペディア全体でフリーでないコンテントの使用は必要最小限とします。複数のフリーでないコンテントは、既に十分なものであれば使用してはいけません。
    (b) 最低限の範囲の利用 (Minimal extent of use) もし、コンテントの一部で十分であれば、コンテント全体の利用を行ってはいけません。解像度/正確さ/長さとしては質の高い(良い)ものでなく、低いものを使用して下さい(特に、オリジナルの使用は著作権侵害に利用されるためです)。このルールはImageの名前空間におけるコピーに適用されます。
  4. 過去の出版物の利用 (Previous publication) フリーでないコンテントは、ウィキペディア外で出版されたものを利用しなければなりません。
  5. コンテント (Content) フリーでないコンテントはウィキペディアの一般的なコンテントの条件を満たし、百科辞典的なものでなければいけません。
  6. メディア明記の方針 (Media-specific policy) 素材はウィキペディアのメディア明記の方針に適合させます。例えば、画像は、 Wikipedia:画像利用の方針に適合しなければなりません。
  7. 最低限1記事 (One-article minimum) フリーでないコンテントは少なくとも一記事に使用されなくてはいけません。[訳注:英語版で記事に使用されていないフリーでないコンテントはCategory:Orphaned fairuse imagesに置かれ、7日後に削除されます]
  8. 重要さ (Significance) フリーでないコンテントは、それがあることでそのトピックにおける読者の理解を著しく増加させ、省略することにより理解に問題が生じる場合にのみ利用可能です。フリーでないメディアファイルは、同じ機能を持ったテキストに置き換えることができる場合には利用してはいけません。
  9. 使用場所の限定 (Restrictions on location) フリーでないコンテントは(曖昧回避のページではない)記事で、記事の名前空間のみ、例外規定を前提にして、利用可能です。(イメージのカテゴリーに小画像が表示されることを避けるために、__NOGALLERY__を加えなくてはいけません。もし、その画像が議論の対象となった場合、画像はノート[英語版ではtalk page)]ページにおいて、リンクを貼り、行中に記載してはいけません)。
  10. 画像の詳細ページ (Image description page) 画像やメディアの詳細のページは次のものを含む必要があります。
    • (a)もし著作権の保有者や出典がことなる場合、 著作物の出典の記載。 Wikipedia:出典を明記するを参照。
    • (b) ウィキペディアの方針により使用が許可されていると記載されている著作権のタグ。著作権のタグのリストについてはWikipedia:画像の著作権表示タグ/フリーでないコンテント参照。[訳注:日本語版では該当ページは存在しません英語版ページ参照。]
    • (c) その素材がフェアユースとして利用される各記事の名前、その素材の各使用に対して個別のフェアユースの正当性、これはWikipedia:フリーでないコンテントの使用時の正当性のガイドラインに記載されています。その正当性は、明確に、簡潔な言葉で、各利用に対応するものでなくてはなりません。

施行 編集

  • この方針に対応していない画像は、アップロードした編集者に通知を行った48時間後に削除されます。削除を避けるためには、アップロードした編集者や他のウィキペディアンが、全ての10項目を満たすための編集を行う必要があります。
  • 2006年07月13日以前にアップロードされた画像は、48時間の制限が7日間に延ばされます。
  • 「フリー」ではないメディアは、法的にウィキペディアでの使用が可能であっても、どの記事でも使用されていない場合は(項目7)、通知の7日後に削除されます。

フリーでないコンテントの削除基準は、Wikipediaにおける即時削除に従います。

脚注 編集

  1. ^ May 19, 2005 statement by Jimbo Wales