ブリタニカ国際年鑑2004年版

■特別寄稿
◎アメリカが対峙する世界の課題
ジミー・カーター(アメリカ合衆国第39代大統領)
9・11同時テロを契機に世界は一気に不安定化し、国際社会には対立と不信が蔓延した。こうした状況と唯一の超大国のふるまいは、ノーベル平和賞を受賞した元大統領の目にどう映ったのだろうか。エンサイクロペディア・ブリタニカ年鑑局長チャールズ・トランブルによるインタビュー。
◎国際社会のなかの日本
松浦晃一郎(国連教育科学文化機関[UNESCO]事務局長)
イラク問題に象徴される国際紛争で彩られた2003年の世界。あらゆる地域で拡大する貧富の格差、暴力の連鎖で増殖する憎悪――。この困難な時代に、日本はどのようにして真の国際貢献をなすべきか。ユネスコ事務局長として世界中を駆け回る筆者からみた、日本の国際貢献の課題と提言。
■特別リポート
◎安保理改革論議の盲点
エドワード・C.ラック(コロンビア大学教授)
対イラク武力行使をめぐる論争の過程で問われた、国連安保理の妥当性と将来性。組織としての権威回復のため、抜本的改革を求める声に欠けている視点とはなにか。安保理の存在意義と可能性を探る。
◎戦争と世界のメディア
ピーター・ケルナー(政治評論家)
アメリカ主導の対イラク戦争において、軍の部隊に組み込まれた記者の報道に独立性はあったのか。対立陣営双方の報道合戦、加速するハイテク報道技術など、戦争報道にみる新たな問題点を考える。
◎住基ネットの論点と課題
田島泰彦(上智大学教授)
数々の論議を残したまま発足した住基ネット。成立までの経緯を振り返り、その利便性と危険性を日本の現状だけでなく、イギリスなどの国際動向も参考に考察する。
◎世界の水危機に出口はあるか
ピーター・ロジャーズ(ハーバード大学教授)
人口の急増と都市化の進行で、近い将来予測される世界的な水不足。水不足の背景と性格、危機を回避するために必要な視点、そこから導き出される解決策を考察する。
◎「コロンビア」空中分解の衝撃
白水正男(宇宙航空研究開発機構 将来宇宙輸送系研究センター長)
地球帰還途上で空中分解したスペースシャトル「コロンビア」号。ロケット開発の専門家による、NASA報告に基づく事故原因の検証と今後の宇宙開発への提言。
◎軌道エレベータは実現するか
金子隆一(サイエンスライター)
宇宙開発にはロケットが不可欠。たとえ危険でコストが高くても。でももし、宇宙まで届くエレベータができたなら? 脱・ロケットの宇宙開発への可能性を探る。
◎ユビキタス社会を目指して
坂村健(東京大学教授)
日常生活のあらゆる場面でコンピュータがきめ細かに人間をサポートする。そんなユビキタス・コンピューティング時代がすぐそこまでやってきている。
◎SARSが証明した新感染症の脅威
ブライアン・J.フォード(生物学者)
アジアに端を発した謎の新型肝炎の流行は、人々を不安に陥れた。ボーダレス化した地球上で、あらゆる感染症は現代文明の力を借りて世界中に広がっている。
◎睡眠障害と現代人
山田尚登(回精会北津島病院副院長)
生活ストレスに夜型生活。いまや日本人の4~5人に1人が睡眠に関する問題を抱えている。睡眠障害と現代社会の関係、さまざまな睡眠障害の症状と治療法を解説。
◎近代建築の保存と社会的意義
鈴木博之(東京大学教授)
老朽化や再開発で取り壊される近代建築。人にとって建物とはいかなる存在なのか。保存を求める運動の根底にある考えと、建物に対する認識のあり方、保存の事例。
◎戦火に巻き込まれたイラク文化財
松本健(国士舘大学イラク古代文化研究所教授)
フセイン政権崩壊直後に起こった文化財の略奪は、世界の人々に大きな衝撃を与えた。戦争終結後ユネスコにより現地に派遣された筆者が、その現状を詳細に報告・解説する。
◎イラク戦争と日本
高濱賛(在米ジャーナリスト)
同時テロからアフガニスタン攻撃、イラク戦争へと続く一連の事件は、国際協調主義・国連中心主義と日米同盟との間で国論のゆれる日本を直撃した。自衛隊のイラク派遣で日米同盟関係を強固にした日本の選択は、将来、正しかったといえるのだろうか。
◎イラク戦争 アメリカの戦略と誤算
江畑謙介(軍事評論家)
周到に準備し最先端技術を投入した戦いは短期で決着した。しかし占領と復興には、戦闘とは異なる技術と経験が求められる。アメリカのイラク占領計画のずさんさを指摘するとともに、これからの軍隊に必要な役割を考える。
◎ブッシュ、イラク、そして世界
ストローブ・タルボット(元アメリカ国務副長官)
イラク戦争でその単独行動主義が顕著になったアメリカの外交政策だが、伝統的な国際主義に回帰する日は来るのだろうか。長期にわたるイラク戦争同様、アメリカの外交政策の将来像をめぐる戦いも続く。
◎北朝鮮による日本人拉致の実態
荒木和博(特定失踪者問題調査会代表)
拉致を生んだ政治的・歴史的背景にはなにがあるか。また個々の事件に対する政府の対応や今後の救出活動はどうあるべきか。今までに明らかになった拉致事件の経緯とあわせ解説する。
◎現代アジア海賊事情
山田吉彦(日本財団 海洋船舶部長)
インターネットが普及し宇宙探査の進むこの時代にあっても海賊の暗躍はやまない。重武装して船を襲う暴力行為はもはや英雄譚でも冒険譚でもない、海上のテロリズムである。
◎ヨーロッパに近づくトルコ
夏目美詠子(日本貿易振興機構海外調査部アドバイザー)
ヨーロッパとアジアのはざまで独自の文化をもつトルコは、EU諸国との交渉の歴史を経て、いま新しい時代の入り口に立つ。EU加盟へ向けてのトルコ民主化の歩みを図表とともに解説する。
■写真特集
◎建築にみる日本の近代遺産
◎遺伝子研究の50年 1958―2003
◎世界が注目する日本の新しい美術作家
◎イラク戦争
◎サンクトペテルブルグ建都300年
■スポットライト
◎バーチャル俳優
近年進歩が目ざましいコンピュータ・ジェネレーテッド(CG)技術。CGから誕生したリアルなキャラクターたちの世界をレポート。
◎指揮者の椅子取りゲーム
タクトを片手に世界中を渡り歩く指揮者たち。華麗な舞台の裏では限られた座を求めて、激しい椅子取りゲームが展開されている。
◎チャーター・スクール制度
より良い学校制度を求めてアメリカで誕生したチャーター・スクール制度。着実な広がりを見せる制度の理念と現状。
◎「第二の地雷」クラスター爆弾
地雷とともに、非戦闘員への被害が多いクラスター爆弾。その開発から現在に至る歴史、使用と廃絶における国際的な動きを解説。
◎世界貿易センタービルの再建計画
アメリカ同時テロで破壊されたニューヨークの世界貿易センタービル。2004年に着工が予定される再建計画の概要を紹介。
◎日本の選挙――PRと広告
アメリカの選挙活動で欠かせない存在である一方、日本ではなじみの薄いPR会社。その役割と、日米の選挙におけるPRと広告の土壌を分析。
◎家系調査はインターネットで
家系調査にインターネットを利用する人が増えている。インターネット上に普及しつつある、家系調査に関するさまざまなデータベースを紹介。
◎サッカービジネスでも頂点の強豪レアル
スペインの強豪サッカークラブ、レアル・マドリード。負債を抱えたクラブをみごとに立ち直らせ、商業的にも頂点へと導いたペレス会長の経営戦略に迫る。
◎クリケット・ワールドカップ
南アフリカ共和国、ケニア、ジンバブエで共同開催された第8回クリケット・ワールドカップ。波乱含みだった大会の模様を報告。
◎ネット集団自殺
センセーショナルに報じられ、相次いだネット集団自殺。過去の例もあげ、マスメディアの責任を問う。
◎火星大接近
6万年ぶりの大接近で世界の人々の目が火星に向けられた。しかし人々が火星に魅せられる理由は他にもあった。
◎カナダのアメリカ人向け処方薬ビジネス
世界でも飛び抜けて薬の高いアメリカでいま、薬価の安いカナダで処方薬を購入するビジネスが広がっている。
◎阪神フィーバーの経済学
18年ぶりにリーグ優勝を果たした阪神タイガースの経済効果はいかに。データをもとに検証する。
◎戦略基地ディエゴガルシア
アメリカの世界3大軍事基地といわれるディエゴガルシア島。インド洋の環礁が軍事大国の重要拠点となった経緯とは。
◎フランスの外交術
イラク戦争開戦に反対し、その存在感を示したフランス。「多極化の必要性」を主張、指向するその外交術を解説する。
◎建都300年――サンクトペテルブルグの光と影
各国首脳を招き盛大に行なわれた建都300年祭。しかしサンクトペテルブルグ市民の胸中は複雑だ。盛大な式典の裏で何が起こっていたのか。
■人間の記録
アイブ/朝青龍/浅野忠信/安部晋三/李鐘郁/ウーズ/エルドアン/温家宝/菅直人/神原秀記/キバキ/キルチネル/クバストホフ/坂村健/ジェイコブス/ジャクソン/シュワルツェネッガー/ジョーンズ/ジョーンズ/末續慎吾/スリム/ゼタ=ジョーンズ/ソレンスタム/立川敬二/ドビルパン/ノボラツスキー/パーソンズ/ハディド/バーニー/福井俊彦/フセイン/ブッシュ/ブラベック=レッツマット/ブリクス/ブレマー/ベッカム/星野仙一/ポランスキー/増岡浩/松井秀喜/マルドーン/ムーア/村上隆/姚明/安田隆夫/ラムズフェルド/リベスキンド/レディオヘッド/ロドリゲス/ロンボルグ
■ノーベル賞受賞者
平和賞/文学賞/経済学賞/化学賞/物理学賞/生理学・医学賞
■物故録
青木雄二/秋山庄太郎/芦原義重/アニエリ/アミン/アリエフ/生島治郎/石井真木/石原俊/イストミン/イゼトベゴビッチ/伊藤博/今藤綾子/エイミズ/圓鍔勝三/笈田敏夫/大石武一/奥田元宋/オコナー/小此木啓吾/オディアンボ/オンズロー・フォード/風間完/カザン/カーター/カッツ/カーニー/ガルシア・ポンセ/ガルティエリ/河原崎長一郎/ギブ/ギブソン/キャッシュ/キング/キンドルバーガー/グエン・スアン・オアイン/鯨岡兵輔/久保亘/グラハム/グラハム/クラベイリナ/クルース/黒岩重吾/黒田了一/クローニン/ゲティング/コクセター/小鶴誠/小松方正/コレリ/サイード/三枝和子/桜内義雄/サドルディン・アーガー・ハーン/サーモンド/サンコー/サンタマリア/ジェンキンズ/シスル/島比呂志/シモン/シャペラ/シューメーカー/シュレシンジャー/春風亭柳昇/ジョージ川口/白井義雄/シーン/ジンジッチ/真籐恒/鈴木真砂女/スパーン/スミッソン/隅谷三喜男/セグンド/宋美齢/ダッコ/ダッダ/巽悟朗/チャドウィック/チャン/張愛萍/都筑道夫/ティッシュ/ディブ/デメロ/デュガン/テラー/ドウィヨゴ/ドゥジンスカヤ/トレバー=ローパー/名古屋章/西村公朝/ハインズ/ハインズ/ハキム/ハットフィールド/ハリソン/ピアラ/ヒラー/ヒル/ヒロネリャ/ファースト/ブイコフ/フィリップス/深作欣二/富士川英郎/藤田省三/プジャード/フセイン/ブランショ/プリゴジン/ブリュノフ/プリンス/ブルメル/ブロンソン/ベイツ/ペック/ヘップバーン/ペトラッシ/ヘミングズ/ベリオ/ベントン/ホッター/ホープ/ホワイト/本間一夫/マコーマック/松井康成/松本恵雄/マーデン/マートン/マン/マンクハウス/水木洋子/宮脇俊三/モイセイビッチ/モイニハン/モジリアーニ/モールディン/夢路いとし/ユーリス/吉田雅夫/與那嶺貞/リーフェンシュタール/レイン/ロストウ/ロビンズ/ロングデン
以上のほか,202の国・地域情勢と,政治・経済・産業・科学・文化・芸術・スポーツ界の1年間の動きを詳細に記述。さらに,膨大な各国統計資料を収録。




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