Britannica Japan
2005年版『ブリタニカ国際年鑑』「人間の記録」
ペ・ヨンジュン
山根聡(産経新聞東京本社文化部)

二国間関係にいかに解決困難な問題が存在しようと、大衆文化を通じた国民間の交流は可能であることを示した大韓民国(韓国)の俳優ペ・ヨンジュン。彼が築いた韓流ブームは一過性の現象にとどまらず、政治とは別の次元でいまも日韓両国民の相互理解に少なからず貢献しているといえる。


 2004年は日韓文化交流史における画期的な年となった。その火つけ役となったのが、連続テレビドラマ『冬のソナタ』の主演男優、「ヨン様」ことペ・ヨンジュン(裴勇俊)である。韓国の映画やテレビドラマ、J‐POPならぬK(コリアン)‐POPなどの大衆文化、いわゆる「韓流」はここ数年、徐々に日本でもファンを増やしていたが、2004年、突然のように沸騰した。
 下地は2003年4~9月にNHK衛星放送第2で放送された韓国国営放送(KBS)の人気ドラマ『冬のソナタ』。これが大きな反響を呼び、12月に集中アンコール放送されると、本放送より高い視聴率が出た。2004年4月3日からは地上波の総合テレビでも放送されたが、放送開始に合わせてペ・ヨンジュンが訪日するや、羽田空港には開港以来という5000人の女性ファン(年齢層が高いのが特徴)が熱狂的に出迎えた。韓国で「ほほえみの貴公子」と称される「ヨン様」は、白いスーツでさっそうと現れ、トレードマークの眼鏡に口元から白い歯をのぞかせた理知的でやさしげなスマイルでファンの声援にこたえた。この一部始終を翌4日の新聞各紙が一斉に大きく取り上げ、テレビのワイドショーも盛んに報じたことから、ブームが一気に過熱した。『冬のソナタ』は深夜の放送にもかかわらず、最終回は関東地区で20.6%、関西地区では23.8%という驚異的な視聴率(ビデオリサーチ調べ)を記録。さらに11月、写真集の発売に合わせて再訪日した際には、成田空港に7000人のファンがつめかけ、都内の滞在ホテル前では殺到したファンが転倒してけが人が出る事態に。その際の記者会見での、涙を浮かべた真摯で誠実な態度がまた、ファンにはたまらないようだ。
 1972年8月29日生まれ。ソンギュングァン大学(成均館大學校)映像学科出身。1994年にドラマ『愛の挨拶』で俳優デビュー。監督は『冬のソナタ』と同じユン・ソクホ(尹錫瑚)だった。他に『初恋』(1997年)、『愛の群像』(1999年)、『ホテリアー』(2001年)などに出演。2004年には、映画『スキャンダル』(2002年)も日本公開され、李朝の好色な貴族役がファンの意表を突いた。日本のチョコレート、車、デジタルビデオカメラなどのCMにも多数出演。写真集ではやさしげで穏やかな表情からは想像できない肉体美をみせた。また東京での写真展の収益から3000万円を新潟県中越地震の被災者に、インド洋大津波の被災者にも同額を寄付して話題となった。




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