【モスクワ】米自動車メーカー、フォード・モーターは18日、ロシア自動車大手ソレルスと提携し、ロシア国内でフォード乗用車と軽商用自動車の製造販売を行うと発表した。ソレルスはロシアのプーチン首相が支援していたイタリアの自動車大手フィアットとの国内での提携に向けた交渉を打ち切った。
合弁企業の金融面の条件については公表されていないが、同合弁企業では、サンクトペテルブルク近郊のタタルスタン共和国フセヴォロシスク工場で自動車を生産することになる。合弁企業「フォード・ソレルス」は年末までには操業を開始する予定。
フォード欧州のスティーブン・オデル会長兼最高経営責任者(CEO)は、今回の合弁により、ロシア国内の自動車業界の強化につながる一方、同社のロシアでのブランド構築が可能になると表明した。フォードによると、同社は2002年、ロシア国内で外国メーカーとして初めて自動車生産を開始した。ソレルスは乗用車および軽商用自動車生産で国内2位。
プーチン首相は1年前に、ロシア国営の銀行がフィアットとソレルスの24億ユーロ規模の事業提携に向けた資金調達を支援すると表明していた。同事業では16年までにフィアットとクライスラー・ブランド車を年間50万台生産することが目されていた。しかし、フィアットとソレルスは18日、共同発表文で、交渉は決裂したと明らかにするとともに、既存の協力体制は維持すると表明した。
フィアットの広報担当者は、同社は年間50万台の生産が可能なロシア工場を建設する計画を独自で推進すると明らかにした。同広報担当者は投資規模については公表せず、また、フォードとソレルスの合弁についてはコメントを避けた。
在ロシア欧州ビジネス協会によると、フォードの1月のロシアでの新車販売台数は前年比24%増加し3629台となったが、増加率は米自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)に及ばなかった。GMの1月のロシアでの新車販売台数はフォードのほぼ3倍に達した。